(前回より続き)
2日目の最初のワークは、エネルギーの出口(Exit)を活性化させるマッサージ。
出口とは、からだの末端部分だ。
頭部から頚部、腕から手、脚部から足裏を、螺旋を描くようにマッサージする。
講師のアキームの手は大きく、指も長い。う〜、うらやましい。
デモを見ているだけでも、気分が良くなる感じだ。
「マッサージしながら、その人のコアに触れるように」
初回のワークがマッサージなんて、ラッキー!
さっそく参加者同士ペアを組んで実習。
最初に受けさせてもらった。
あ〜、やっぱり頭も首も硬い。
氣持ちはいいのだが、なかなか緩まない。
そして、最後、脚部をやってもらっているとき、胃の辺りがふわっと緩んだ。
そしたら下腹部も緩み、腸が動くのを感じた。
何かがすーっと出て行って、おなかが緩んだ。「確かにExitかも。。」
おなかが緩んで、呼吸も深くなり、だいぶ楽になった。
ちゃんと合ったマッサージをすると、からだは素直に反応してくれるのだ。
お昼休み後、今度は私がセラピスト役。
お昼食べた後ということもあり、クライアント役の方は爆睡状態。
「首をやった後は覚えていない」とかなりリラックスされた様子。
やっぱ、マッサージって気持ちいいよねぇ。それだけで癒される。
講師のアキームはすごく感覚的であるのに、説明もとても論理的でわかりやすい。
右脳、左脳のバランスがとてもよいに違いない。
たたずまいが物静かで、誠実で丁寧だ(ドイツ人的と言ってもよいかも)。日本人のメンタリティに合っているかもしれない。
2日目の最後のワークはブレスワーク。
胸の上部(そこにセラピストは手を置く)からの呼吸を続ける、というとてもシンプルなもの。
しかし、そのシンプルなワークは、私にとても感動的な体験をもたらした。
胸、つまりハートには、結構いろいろな感情が隠されている。
不安とか悲しみとか。言いたくても言えなかった言葉も。
呼吸をすることで、ハートに眠っていた感情やら言葉やらが出てくる。
それらを、呼吸とともに、外に出すのだ。
「私からは、きっと悲しみとかが出てくるのかなぁ。流せなかった涙とか」
自分がクライアント役になる前に、漠然とそう思った。
横になって、セラピストの手を感じながら、呼吸を始めた。
最初は浅かった呼吸が、だんだんと深くなっていく。
喉を通る息の音が、自分の中に響いている。
周りからは、何かを叫ぶ声、咳込む音、泣き声とかが聞こえてくる。
周りの音に動揺するかと思いきや、自分はものすごく静かに息をしている。
聞こえているのに、そこには居ないかのような感じだ。
セラピスト役の相手が「ちょっと目を開けてみましょうか?」と言った。
目をゆっくり開けると、こちちを見つめている目に会った。
急に、私は、意味もなく可笑しくなって笑った。
相手も一緒に笑って「何が面白いの?」と聞く。
「なんだか分からないけど、おもしろ〜い」と答えた。
そして、また目を閉じて呼吸を続けた。
息はどんどん深くなり、ゆっくりになり、からだ全体が呼吸になったようだ。
「今、何を感じていますか?」(←セラピスト役は時々この質問をする)
「呼吸が氣持ちいい。息をするのを忘れそう。」と私。
「大丈夫。ちゃんと呼吸していますよ」とセラピスト。
「ちょっと目を開けてみましょうか?」(←セラピスト役は時々この質問もする)
ゆっくり目を開けると、こちらをのぞきこんでいる顔が見えた。
その人の顔を、私は好奇心いっぱいで見ていた。
そして、目だけを動かして、周りの世界をただ見ていた。
この感じ、どこか懐かしい。そう、赤ちゃんの目線だ!!
私は、いつのまにか、生まれたばかりの赤ちゃんになっていた。
この世界を、何の思考も偏見もなく、ただただ好奇心いっぱいで見つめていた。
目をいっぱい動かして、この世界を見ていた。
そして、また目をつむり、呼吸を続けた。
赤ちゃんになった私は、呼吸をするのが楽しかった。
口の形を変えると、呼吸の音も変わるのが面白くて、まるで楽器の音を楽しむように、自分の呼吸の音を楽しんでいた。
まだ身体に慣れていないせいか、時々自分の唾液で咳き込みそうになったりした。
身体を面白がって、楽しんでいた。呼吸することが面白くて、ただ楽しんでいた。
「ではそろそろ、ゆっくりと戻りましょう」セラピストの声が聞こえた。
だんだんと普段の呼吸に戻して、私も今へ戻ってきた。
ワーク終了後、「本当に目がキラキラしてて、赤ちゃんの目みたいでしたよ。愛をいっぱいもらった氣がします」とセラピスト役の方が言った。
私は、訳もなく、ハッピーな気分だった。
「私はここに生まれたがっていたのだ✨そして身体にいることを楽しんでいたのだ!!」
私の中から聞こえた。「呼吸を覚えてさえいれば、大丈夫だよ」
この呼吸があれば、私はいつでもコアエネルギーとアクセスできるのだ♡
(続く)