もっと強くなれば、もっと大きくなれば・・・
些細なことで心が揺れたり、いろいろくよくよと思うことはなくなるんだろうと思っていた。
気にしたり感じたりすることは、自分が弱いからだと思っていた。
感情に自分をのっとられてしまう。自分と感情は同じものだった。
なので、感情をじっくり感じることは脅威だった。
あるとき、感情の波の奥底に、その波を静かに見ている誰かに気がついた。
その誰かは、波と一緒には動かずに、ただ静かに呼吸してそこにいた。
その誰かを見つけてから、自分は感情とは違うものなのだ、とごく当たり前のことに気がついた。
ただ静かにそこにいる誰かを見つけてからも、感情の波は相変わらず凪ぎいたり荒れたりしている。
そして、そんな波を、そこにいる誰かと一緒に眺めながら、味わっている。
自分が感じることができる、ひとつひとつの感覚・感情が、今はとても愛おしい。
そう、それは、私が今ここに生きている証だから。