hitokadoh姉さんの身辺雑記

鍼灸師、心に浮かんだこと、あれこれつづります。

『脱・近藤誠理論のがん思考力』通読

脱・近藤誠理論のがん思考力』を読みました(通読レベル)。

きっかけは、著者の大場大氏のブログをはてなブログで見つけたからです。

masaruoba.hatenablog.com

「がんは放置すべき」「抗がん剤は効かない」などセンセーショナルな「近藤理論」を打ち出している近藤誠氏に「もの申す!」的な内容が多いです。同時に、メディアの伝え方などにも言及されていて、興味を持ちました。

近藤誠氏の著書はまだ読んだことはありません。数年前に「抗がん剤は効かない」と声高に言う医師(近藤氏)が出てきた!時代は変わったな〜、と感じたことを覚えています。

脱・近藤誠理論のがん思考力』を読んで思ったのは、やっぱり二元論では語れない、十把一絡げに「〇〇は良くて、XXは悪い」とは言えない、ということ。

EBM (evidence-based medicine) はますます重要になってくるし、あらゆる場面で要求されてくるでしょう。

でも、ちょっと厄介なのは、データの読み方、解析の仕方で、とんでも理論にも利用される可能性がある、ということ。

大場氏の考えに同意できない部分も多少ありましたが、かなり勉強になりました。

この本によれば、「体験談や専門家意見は信頼性が薄い」そうです。
でも、私たち(少なくとも私)は、そちらの方を信じてしまう傾向があります。

特に体験談は、かなりパワーありますよね。誰だかわからない大多数のデータで「この薬は効く」と出ていた、としても、目の前の人、とか、知り合いの知り合いが「薬使わなくても治った」って聞いたら、データより「体験談」を信じてしまいそうです、感情的に。

例えば、がんについてですが、「手術して助かった」という知り合いもいますし「手術してないけど元氣に生活している」という知り合いもいます。
経験上は「手術は有効である。でも、必要ない場合もある」と何とも曖昧な立場です。当然ながら、がんの種類が違うし、同じがんでもステージが違うし、そして、その方の生活(食生活とか考え方も含む)が違います。単純比較はできません。「手術すべき」「放置すべき」と、十把一絡げに言うことはできません。

私はどちらかというと「食事療法」信奉者なので、大場氏言うところの「本来楽しむべき食生活が犠牲になってしまうことの方が心配」な人に当たるでしょう。「挙句の果てには断食まで」嬉々としてやっている始末なので、既に「人生台無し」な人になっています(嫌味っぽいねw)。

副作用について。

抗がん剤について、近藤氏の著書『がん治療で殺されない七つの秘訣』で、最近亡くなった小林麻央さんが受けていた抗がん剤パクリタキセルの「薬剤情報を抜粋しながら、抗がん剤の危険性を煽る記述がある」として、その箇所を引用されています。
そのあと、痛み止めや解熱目的で皆さんも使ったことがあるかもしれないロキソプロフェン(商品名ロキソニン)の添付文書に記載されてある重大な副作用に言及されています。

・ショック、アナフィラキシー様症状 ・無顆粒球症、溶血性貧血、白血球減少、血小板減少 ・中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) ・急性腎不全、ネフローゼ症候群、間質性腎炎 ・うっ血性心不全 ・間質性肺炎 ・消化管出血 ・消化管裂孔 ・小腸・大腸の狭窄・閉鎖 ・肝機能障害、黄疸 ・喘息発作 ・無菌性髄膜炎 ・横紋筋融解症 ・再生不良性貧血

 

私も時々、使用している薬ですが、ロキソニンの服用を薦められたときに、これらリスクを過度に恐ることで、ロキソニンの副作用で死ぬのは嫌だからと、発熱を我慢したり、痛みを我慢したりする思考は果たして健全といえるでしょうか。世の中にはゼロリスクが担保されている事象などあるはずがありません。

(中略)

プロフェッショナルな医師は、常に「無治療」という選択肢を持ち合わせています(詳細は後述)。然るに、抗がん剤の副作用は危険だぞ、怖いぞ、と誇大に恐怖を煽り、主作用までも否定してしまうのでは、思考停止以外のなにものでもありません。 (p.80〜81)

今のところゼロリスクの薬剤(治療法)はなく、毒が薬として使われてきたという歴史はあります。 
抗がん剤だけに副作用があるわけではありませんよ、ということですね。
だからといって、抗がん剤を使いたい氣になるか…といったら、???ですが。

そして、時々目にする海外の治療との比較について。「アメリカでも欧州でも〇〇はもう行われて(使われて)いないのに、日本ではまだやってるの?」的なコメントです。

私もこの批判に便乗しがちなのですが・・・

大場氏の本で、ここでも比較は単純でないということがわかりました。薬剤効果だけでなく、保険制度(どの程度まで保険適用になるか?)の問題が影響するそうです。かなりざっくりと言ってますが、もっと色々書いてあります。詳細は著書を呼んでください。

最初にも書きましたが、通読レベルですから。 
近藤誠氏の本を読んだことがないので、いまいち乗れないということもあり。。近藤氏は本を(名前も)売るために、よりセンセーショナルでより単純理論(〇〇だけすれば▲▲は治る!的)に行っちゃったのでしょうかね〜。

つい「本を出している=優秀」「有名=優秀」と認識してしまいますが、そうとは限らないということは肝に銘じておきましょう。

最初に書いたとおり、大場氏の考えに同意しかねる部分もありましたが、患者と真摯に向き合っている医師なのだな〜ということはとても感じました。
たまには自分の「好き」以外のものを見ると、それはまた新たな発見ありますね。

医療を考えるうえで絶対に無視をしてはいけない、何にも妨げられない礎が「医の倫理」です。なぜならば、医療の対象がモノではなく、病んだ「人(ヒト)」であり、尊い「命」だからです。 (p.269〜270)

冒頭で述べた「医の倫理」とはどのようにして築かれるのでしょうか。決して論文などで学べる認知的なものではありません。臨床現場で患者さん一人ひとりに直接、手を差し伸べながら真摯に向き合う実践の中で育まれるものだと思います。 (p.272)

近藤理論を放置してはいけない」という医師の記事、見つけました。ま〜、医師は警鐘鳴らすでしょうな、普通。

そう言えば、WHOやFDA抗がん剤を禁止しているという話が以前、流布しました。大場氏のブログでも関連記事は見つかりませんでした。「そんな通達は出ていない」と書いている人もあり、わかりません。どうなんでしょうかね〜。
時間があるときにでも、WHOFDAのサイト、調べてみましょう。WHOの情報が果たして正しいのか?という方もおられますけどね。ま、それはそれとして…

 

人生は面白い。

 

7/12追記:WHO、FDAのサイト見てみました。「anti-cancer, chemotherapy」で検索しましたが、「抗がん剤禁止」という記事は見つかりませんでした。下記のブログもありますね。d.hatena.ne.jp

抗がん剤」という言葉はあまりにも漠然としていますよね。ある種類の抗がん剤が禁止された、ってことだったのかもしれません。その後も、新しい抗がん剤は次々と開発されていますしね。