いろんなものが剥がれ落ちていった。
一生懸命見につけた、と思ったもの。
練習して、うまくやれるようになった、と思ったもの。
かなり改善してきた、と思ったもの。
ちょっとづつ、なりたい自分になれてきた、と思ったもの。
努力のかいがあった、と思ったもの。
深みが増して、豊かになった、と思ったもの。
あいかわらず、変わっていないし、あいかわらず、進歩していない。
『それは傲慢さから来ています。』と声が聞こえた。
「え?あたしのどこが傲慢だっていうのよ!!」
「がんばって積み上げていたのに。。成長したと思っていたのに。。」
『それは単なる妄想です。謙虚さが足りないのです。』
「何?あたしはかなり謙虚よ」
納得いかない。
どこまで謙虚になれってことだよ!?
全然わかんない。
そんな攻防が数週間、続いたのち。
私はあきらめた。
そうだ。
私は恐いやつだ。恐ろしいやつだ。おどろおどろしいやつだ。
冷たいやつだ。本当に人を愛せない人間だ。他人を信頼していない人間だ。
それをダメだ。それを直そう。
と思わなくなった瞬間、すんごく楽になった。
いいじゃん。
そういうあたしも、あたしなんだから。
そうじゃないあたしもいるわけだし。
そう、これもあれもそれもある、あたし。
なんて、広いあたし。
なんて、自由なあたし。
今も、人を本当に愛せないかもしれない、人を信頼できないかもしれない、と思っている。
けど、絶対愛せ「なければならない」わけでもない。絶対信頼「しなければいけない」わけでもない。
でも、愛したい、信頼したい、とは思っている。。。たぶんね。。
それだけで十分。
できるかできないかは、問題じゃない。
そんなこと、わかっていると思っていた。
けど、「わかる」ってことも、幾重にも幾重にも重なっているのだね。
「ダメ」なところを責めるのでもなく、直すのでもなく。
ただ「自覚する」。
それで、「ダメ」が、ダメじゃなくなる。
何かが、変わっていく。
そして、自分のどこかが広くなった。