多田富雄著『寡黙なる巨人』読みました。
著者の多田氏は、世界的な免疫学者で、能に造詣深く、新作能も創作されている。
2001年に脳梗塞で倒れ、半身不随、言語障害、嚥下障害など重度の障害者になった。
この『寡黙なる巨人』は、脳梗塞後の闘病記とエッセイが掲載されています。
多田氏の本を初めて読んだのは、『からだの声をきく』。
同じシリーズ、平凡社STANDARD BOOKSの『三木成夫 いのちの波』(三木成夫ファンなもんで)を読んだとき、裏表紙の内側にシリーズ一覧があり、「からだの声をきく」というタイトルに惹かれて手にとりました。
そのとき、初めて、多田氏が免疫学者であることを知りました。新コロ以降、免疫学者の本を読むことが多い気がします。
この本の中に掲載されていた一編『オール・ザ・サッドン』に衝撃を受け、『寡黙なる巨人』に辿りついたわけです。
実は、患者さんのお一人に、同じように脳梗塞発作で半身不随の方がいらっしゃいます。
その方がベッドから車椅子に移乗するときの歩き方が、本のタイトルになっている「寡黙なる巨人」という言葉を想起させました。
障害のレベルが違うので、多田氏の言葉をそのまま当てはめることはできませんが。
医学書とか施術の時間とかから得られる情報とは全く質が違う、もっと生々しい”生きた”感覚が溢れています。
当事者から発せられる言葉は、やはり力を持っていて。
さらに医学知識がある学者で、しかも発作前からエッセイなども書かれていた、ということになれば、表現が刺さります。
想像でしかないわけだけれど、それが仮想体験になるような身心感覚がありました。
発作後、障害がわかったときの絶望感。しばらくは自死のことしか考えられなかった、という件に、先月末、ALS患者嘱託殺人の容疑で医師が逮捕されたニュースのことが頭をよぎりました。
回復が見込めない、とか、治らない、とか、そういう現実に直面すると、二元論に陥りがちになる(少なくとも私は)。
現実が痛すぎるので、”奇跡”を起こそうと躍起になる (少なくとも私は)。注:ここでいう”奇跡”は、ハイジの「クララが立った!」的なもの ← 知らない人はスルーしてください。
↑この状況は、苦しいです。
なぜ苦しいか?と揉んでみたところ、「勝ち負け」という枠組で見ているから、と結論付けました。
回復したら勝ち、しなかったら負け。
治ったら勝ち、治らなかったら負け。
今だと、「新型コロナに罹ったら負け」ですね…
いやいや、そんな単純なもんじゃないでしょ。
でもさ、人間は単純な方が好きだよね?
ま〜、究極突き詰めていくと「単純」にはなるんですが。 言うなれば、排除の上のそれか、包摂の上のそれかって感じでしょうか。
多田氏は、発作後自分の中に新しく生まれたものを「巨人」と名付け、巨人を日々育て、共に生きていく。
それは、きれいごとではなく、泥臭く地道で鈍臭いものにも見えるのだろうけど。
しかし、その奥に微かに見えてくる、いのちの力強さ・美しさは圧倒的で、ひれ伏すほどの畏れがある。
それらを観る目がほしい、それらを精密に察知できる感覚がほしい、と欲にまみれた私は思いました。
追記:安楽死についての考察は以下の動画をおすすめします。
青木理×宮台真司『月イチ宮台 - 安楽死・尊厳死議論の前提とされるべきもの, 過去の歴史と自粛警察の連続性』
人生は面白い。
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