『母という呪縛　娘という牢獄』が痛かった - 一香堂(ひとかどう)の身辺雑記

こちら読みました。

題名自体、苦しい感が満載なのですが、読み進めていくと、さらに苦しさが増し増しになり・・・・

途中「いや〜、キッツイわ〜」と何度かブレイクが必要だった。

2018年に滋賀県守山市で起きた、娘が母親を殺害するという事件。
殺害に至るまでの経緯、生育環境、家族関係に始まり、事件後の娘さんの様子、刑務所での生活なども書かれている。

娘さんは「殺人」という許されない手段を最終的に選んでしまったのだが、「じゃあ、他にどうすれば彼女は逃げられたのか？？？」と思ったのも事実。

彼女は母親から逃げようと、何度も家出をしたり、自立しようと就職を見つけてきたりしていた。が、最後には母親から逃げられない。成人になっても、母の呪縛から逃れられない。娘も母を捨てきれない部分がある。

所々に引用されている母娘のLINEのやり取りが、エグい（拙い形容詞しか使えなくてすまん…）。思考回路が理解不能で、同じ日本語でコミュニケーションしているのに話の通じなさがエグい。

「家族」は安全なシェルターにもなるのだけれど。

外から見えづらく風通しが悪くなれば、閉塞、隔離、孤立の場にもなる。

そして、家族関係、親子関係には、無意識バイヤスがある。無意識な期待、願望、理想があったりする。

そんなものがあることすら気づけないところがまた厄介だ。
無意識な期待、願望、理想にそぐわないものは悪で、なんとか正そうとする。

「あなたのためを思って」とかいう言葉は、怖さが漂っている。「あなたのため」は奥底で「自分のため」につながっていたりする。

私自身も、親に対して無意識な願望や期待があるから。

親→子だけでなく、子→親もあるから、双方向だね、期待や理想は。

また、親子共々歳をとっていっているのに、例えば幼少期とか思春期とか、ある時期の関係性に固まっていたりする。

決して読みにくい文章ではないのだが、心の奥底に沈めてあった自分の傷が引っ掻かれるような感覚に襲われ、時折苦行だったw

著者の齊藤彩さんはこれが初めての著作だそう。長い時間取材を重ねてよく書いてくださった感をひしひしと感じる。

こちらを読むと、概略がわかるのでどうぞ。

人生は面白い。