一香堂(ひとかどう)の身辺雑記

人生面白がろう😆一香堂はり灸師@神楽坂の雑記帳

緑内障患者へ鍼をすすめる科学的理由

先日紹介したタイムの記事内でリンクされていた論文も見ていこう!

hitokadoh-aider.hatenadiary.jp

って言っていた手前、一応見とこうと。

そして、ブログに書いておけば備忘録として使えるじゃん、と思い至り、録します。

 

ヒトの血流に対する鍼の有効性の検証(2021年東北大学の論文)です。

www.ncbi.nlm.nih.gov

リアルタイムで血流の状態が見られる超音波装置、CDI(Color Doppler Imaging)を使って、鍼の前後、血流が変化するかを評価しようというもの。

結果は・・・

はい!血流の変化、ありま〜す!

しかも、経穴によって、血流が良くなる場所が異なります。

これは「どの経穴を使っても同じじゃね?」という問いに、「そうじゃないよ。経穴の性質があるんだよ!」ということが、科学的にも証明された、ことになりますね(←が、私の萌え萌えポイント)

CDIでチェックした血流は、以下のとおり。
 ●上肢の動脈(橈骨動脈、上腕動脈)
 ●上腸間膜動脈 
 ●眼球後方の動脈(眼動脈、網膜中心動脈、短後毛様体動脈)

実験で使われた経穴は、太衝(LR3)と足三里(ST36)。


www.youtube.com


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要約は以下の通り。

  • 太衝の鍼は、上肢と目の血流に影響あり。上肢の血流については施術中は著しく下がったが、施術後は著しく上がった。また短後毛様体動脈(目の動脈)の血管抵抗が著しく下がった(=血管が拡張し血液が流れやすくなる)。しかし、上腸間膜動脈の血流には目立った変化がなかった。
  • 足三里の鍼は、上腸間膜動脈(腸)の血流が著しく上がった。しかし短後毛様体動脈(目の動脈)の血流には目立った変化がなかった。
  • 緑内障患者へ太衝の鍼をしたところ、硬膜中心動脈と短後毛様体動脈の血管抵抗が著しく下がった。

上腸間膜動脈は、十二指腸の下部から横行結腸の2/3までの腸と膵臓を栄養しています。

胃経には、実験で使われた足三里の下に、大腸の下合穴である上巨虚、小腸の下合穴である下巨虚があります。

上巨虚・下巨虚の下合穴にも、現代的納得感がプラスされた気がしますね〜。

「知識は意識を変える」と誰かが言っていたな・・・

遠隔治療の科学的証明にもなりそうですね。

 


以下、行われた4つの実験の詳細を録します。
小難しいことはいいよって方はスルーしてください。

血行動態をみるパラメーターとして、血圧、脈拍、血流量を計測。

実験1:太衝の鍼が上肢の血流へ与える影響

対象:18人の健康な男女(32歳±5、男14、女4)

使用した鍼:セイリン 0.16mm x 40mm(寸3の1番)のステンレス針

刺針法:両足の太衝に10mm刺鍼して18秒捻鍼(回す角度は90度以内)。その後200秒置鍼したのち抜鍼。

数値計測:鍼施術前、施術中(捻鍼中)、施術後30秒、施術後60秒、施術後180秒の5回。

結果:施術中は血流が下がったが、鍼刺激後は橈骨動脈、上腕動脈とも有意に上がった。上肢の血流増減は、交感神経の緊張の増減で起こる末梢血管抵抗に関連していると推定される。太衝は足にある経穴だが、腕の血流に影響を与えていることを示している。

実験2:太衝の鍼が目および上腸間膜動脈の血流へ与える影響

対象:13人の健康な男女(36歳±9、男10、女3)

使用した鍼:セイリン 0.16mm x 40mm(寸3の1番)のステンレス針

刺針法:両足の太衝に捻鍼後、15分置鍼したのち抜鍼。

数値計測:安静時の鍼施術前、施術(捻鍼)後15分の2回。

結果:施術前と比べ、施術後の短後毛様体動脈(SPCA)の血管抵抗が著しく下がった。SPCAは眼動脈の枝で、脈絡膜に血液を供給している。SPCAの末端血管抵抗が下がったことは、脈絡膜への血流が上がったことを意味する。目の血流は交感神経と副交感神経によって制御されると言われているが、一酸化窒素やカルシトニン遺伝子関連ペプチドの分泌も関与していると言われている。また、体性求心性刺激による局所血流の制御は、眼球の脈絡膜の血流における体性ー自律神経反射の機序に基づくとも報告されている。鍼によるSPCAの血行変化は、この体性ー自律神経反射の機序にも関連している可能性がある。足にある経穴、太衝は、眼球の血流に影響を与えていることを示している。
一方、腸間膜動脈の血流には有意な変化は見られなかった。

実験3:足三里の鍼が目および上腸間膜動脈の血流へ与える影響

対象:13人の健康な男女(36歳±8、男10、女3)

使用した鍼:セイリン 0.16mm x 40mm(寸3の1番)のステンレス針

刺針法:両足の足三里に捻鍼後、15分置鍼したのち抜鍼。

数値計測:安静時の鍼施術前、施術(捻鍼)後15分の2回。

結果:眼球の血管抵抗には変化が見られず。一方、上腸間膜動脈の血流は施術前と比べ、施術後は著しく上がった。四肢へ鍼をすると、動物モデルだが、脊髄反射経由で全身の内蔵反射が起こることも既に実証されていた。いくつかの論文では、上腸間膜動脈は、下肢への刺激の方がより血流が上がると報告されている。この血流上昇は、脊髄反射を介して、副交感神経が興奮、交感神経が抑制されたことで起こると推測している。下肢にある経穴足三里が、上腸間膜動脈の血流に影響を与えていることを示している。

実験4:開放隅角緑内障(OAG)患者への鍼が眼球後方の血流へ与える影響

対象:11人のOAG患者(63歳±11、男1、女10)。これら全ての患者は、本実験の少なくとも3ヶ月前から緑内障に対する薬物治療を受けている。

使用した鍼:セイリン 0.16mmまたは0.2mm x 40mm(寸3の1番または3番)のステンレス針

刺針法:両側の攅竹(BL2)、太陽(Ex-HN5)、四白(ST2)、足三里(ST36)、三陰交(SP6)、太渓(KI3)、太衝(LR3)、風池(GB20)、肝兪(BL18)、腎兪(BL23)に15分置鍼。

数値計測:対象群として、被験者は安静時に眼球後方の血行動態計測を受け、その1時間後に計測を受けた。1ヶ月後、被験者は鍼の前後に同じ計測を受けた。

結果:施術前と比べ、施術後は網膜中心動脈(CPA)、短後毛様体動脈(SPCA)の血管抵抗が著しく下がった。またSPCAの血管抵抗は、施術しなかったときと比べても、施術後は著しく下がった。CPAは網膜とSPCAへ、脈絡膜にも血液を供給している。よって、前述の結果は、鍼により網膜と脈絡膜の血流が上がったことを示している。目の血流が上がった生理的メカニズムは実験2で既に述べたとおり。今回の実験で、鍼がOAG患者の眼球の血行を改善し得るといえる。


 

 

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