前回に引き続き、米澤製油(株)の工場見学について。
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米澤製油のなたね油が生活クラブの消費材になった経緯も、ちょっとしたドラマです。
1968年、PCB(ポリ塩化ビフェニル)などが混入した食用油を摂取した人々に健康障害が発生したというカネミ油症事件は、多くの人たちが食用油の安全性に目を向けるきっかけとなりました。
これを機に薬品を使わない製法を研究するメーカーも現れました。米澤製油もそのうちの一社で、1975年に安全・無添加食用油の製法を確立しました。
食用油の製造工程は大きく搾油(抽出)と精製に分かれます。
まず、油を抽出するにはノルマンヘキサンなどの有機溶剤を使うことが一般的だったのですが、米澤精油は機械による自然の圧搾法で搾油。
精製の脱臭工程においては、油症事件の原因となった熱媒体方式ではなく、電熱加熱方式に切り替え。通常の苛性ソーダ・活性白土を用いた脱酸、脱色処理ではなく、湯洗い洗浄という精製法を開発(特許製法)。
このなたね油に魅せられたのが、東京・目黒で油店をやっていた安田大三さん。自ら、米澤製油のなたね油の販売先を探す役目を引き受けました。「宣伝に金をかけて有名になった大手メーカーの油だけが、大量に売れるなんておかしい」という疑問がずっとあったため、特定の量販店を販路とはせず。
「より良い物を共同して分かち合うところが生協だ。生協だったら信念を持って作り上げた油の良さを認めてくれるだろう」と都内の生協に片っ端から電話をかけたそう。しかし興味は持ってくれるものの、結局「高すぎる」と価格面で折り合いがつかず…
諦めきれない安田さんが生活クラブ生協東京にたどり着いたのは、1975年の暮れでした。「話だけでもいいんです、聞いていただけないでしょうか」という安田さんの電話に、「わかりました」という返事。
こうして、翌年1976年6月には組合員の現地見学、9月から消費材の一つとなりました。
確かに、米澤製油のなたね油は市場に出回っている油に比べると割高です。
しかし、原料や工程の手間を考えたら、果たして本当にそうでしょうか?
薬品を使う脱酸脱色工程は短時間で済みますが、湯洗い洗浄は6回繰り返します。水や電熱の消費は約6倍、作業は1時間半余分にかかる。
一般に行われている、石油が原料のノルマンヘキサンなどの溶剤抽出法では、原料に含まれる油分の99.5%まで搾り出せます。一方、米澤製油の圧搾機の圧搾法では、一番搾り、二番搾りを合わせても88%まで。
化学合成薬品を使わない、無添加の油を作る。それは想像以上に手間がかかり、効率も悪いものなのです。
そう、高いものにはわけがあるように、安いものにもわけがあります。
さてさて、ようやく工場の話です。
工場に近寄っていくと、なたねを焙煎しているいい香りが漂っています。油工場って油臭い?とか勝手に想像していたのですが、こんなに香ばしいとは!!驚きました。
まずは原料のなたね。
国産なたねがこちら。見事に真っ黒です!完熟収穫の証。
下がオーストラリア産。上の国産に比べて夾雑物が多いので、白っぽいです。タネの色が茶色っぽいのは、国産に比べ早い時期に収穫しているため。
次に、なたねを篩にかけて夾雑物を取り除きます。
なたねを焙煎。
焙煎されたなたねは圧搾され、搾られます。
灰汁取り。
搾ったあとの油かすは肥料になります。
なたねは捨てるところがありません。
湯洗い洗浄の棟へ移動。
湯洗いを6回繰り返します。
消費材のボトルに充填、封されます。
箱つめされ、出荷されます。
製造の過程で出る脂肪酸は、引き取り業者がいて、これも利用されるそうです。
排水はきれいに浄化され、川に流されます。月に2回、環境テクノという所で排水の安全性をチェックしています。
環境に優しい、見事な循環型工場でした!!
なたね油の良さを見直して、もっと食べましょう!
人生は面白い。
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