般若心経を唱えていると、意識は遅いと感じることがある。
正確には、意識の少し前を走っている"モノ"がいる。「いる」より「ある」でしょうか。
“ソレ”はかなり微妙で、存在感をうっすら感じ始めて捉えようとした途端に消えてしまう。その形や色をよく見たいと目を凝らすと、そこにはもう無い。
「ある」ことはわかっている。が、正体はわからない。
わかったのは、ソレはとても静かだ、ということ。何かを発しているわけでもなく、何かをしているわけでもなく、只々ある。
色もなく、音もなく、匂いもなく、重さもない。
必死に探すと現れてこない。話しかけようとすると消えてしまう。
遠くではない。すぐそこにあるのだが、手は届かない。
でも、確実に「ある」。
私は、いつ立ち現れるかわからない"ソレ"の存在を感じつつ、毎朝唱える。
人生は面白い。