ある日、ドトールで試験勉強をしていたところ、隣に座られていた女性に話しかけられました。
「難しそうなお勉強されているのね?お勉強中、邪魔してごめんなさい。」「今の方は、女性でもお勉強できていいわね。」
「お邪魔してごめんなさいね」という言葉を何度もはさみつつ、その方はお話を続けました。
空襲がくると、日比谷公園に逃げたのよ。
学校が、あの辺だったから。
同級生の〇〇ちゃんは、焼夷弾が当たって死んじゃったのよ。
B-29って大きいのよ。それに比べて、特攻隊の飛行機は小っちゃいのよ。
特攻隊の飛行機がB-29に体当たりしても、落っこちるのは特攻隊の飛行機だけなのよ。
特攻隊の飛行機が突っ込んでいって落ちるのを何度も見ましたよ。
お友達に教えてあげてくださいね。
とてもおしゃれなご婦人でした。
その方が女学生の頃、日常に戦争・死がある日々を送っていたのだ、と思うと、今同じ場所にいるのだけれど、なんだか遠くの、別世界の方のように感じて、その方の佇まいにしばし圧倒されました。
この方は、肌で戦争を知っていて、私は、戦争を知らない。
「話していただいて、ありがとうございます。」
こんなこと言うのが軽々しく感じましたが・・・他に言葉が出てこなかったので、違和感を感じながらも言いました。
やっぱり、生きるって普通にすごいな、と。
こんな単純な表現しか出てこない自分に歯がゆくも思ったけど、「でも、やっぱり…生きるってすごい」と思う私でした。
そのご婦人、二二六事件があったとき、9歳で、学校に避難命令が出て逃げたっておっしゃってました。計算したら、88歳前後ですね。
「人に歴史あり」ですね…
人生は面白い。