土曜日に高野山大学主催の「いのちのセミナー」へ行ってきた。
第一部は、セロトニン研究の第一人者、有田秀穂先生が、坐禅(呼吸法)とセロトニン神経との関係を講演された。
セロトニン神経は脳幹にあり、150億もあるといわれている脳神経細胞全体の中で、わずか数万個しかないにもかかわらず、脳全体に情報を発信している。
セロトニン神経がちゃんと働いていると、
- 目覚めがよくなる。
- 心の緊張や不安をとる。
- 自律神経を適正なレベルにたもつ。
- 痛みを抑制する。
- 姿勢がよくなる (姿勢筋・抗重力筋に影響)。
現代のストレス社会を生きるのに、とっても味方な存在なのである。
しかし、このセロトニン神経、ストレスには反応しない。
効果的に働かせるのに有効なのは、リズミカルな運動だそうだ。
例えば、坐禅の呼吸法(丹田)、読経、ウォーキング、ジョギング、スクワット、自転車こぎ、ガムをかむ、フラダンス、歌唱など。
大切なのは、これらの運動を意識的に行うこと。
また、とても興味深かったのは、坐禅呼吸法を行っているときの脳の血流変動を測定したもの。
前頭前野の部分の(特に、いわゆる第三の目と呼ばれている部分)の血流が増えるのだそうだ。第六感、直観力が高まる可能性は大いにありそう。
そして、セロトニン神経を活性化する運動を繰り返すことで、セロトニン神経自体の構造が変わるそうだ。
神経構造の変化により、その運動をしていないときにも、セロトニン神経の活性化が維持される、とのこと。
だから、その運動を毎日継続することが大事だそうだ。
セロトニンの材料は、トリプトファンという物質。
トリプトファンは、豆類、チーズ、赤味の魚、バナナ、アボカド、ケールなどに含まれ、肉類はその吸収を妨げるそう。
お坊さんの精進料理は、セロトニンにとってもよい食事だったと言える。
有田先生曰く、
釈迦は体験的にこのことを知っていたのだろう。
山にこもっての修行は、どうストレスに反応するか、どのようにストレスに耐えるかの体験である。
しかし、6年の修行の後、山を降りた。
要するに、ストレスには勝てない、生きること自体が苦行であると知ったのではないか?そして弟子たちに語った。「入息出息法を修めるならば、大いなる果と、大いなる福利を得るであろう。」
過去の叡智が、科学的に検証されるっていうのは、素晴らしい!
それだけ、叡智を共有できる人たちが増えるからね。
そして、やはり「継続は力なり」なのね。
(続く)